オメガ、伝説のキャリバー321を再生産

1月8日(火)、オメガは手巻きクロノグラフムーブメント、キャリバー321の再生産を発表した。基本設計を1942年のCHRO 27にさかのぼるこのムーブメントは、高名なスピードマスターはもちろん、80年代以降はパテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ、オーデマ ピゲなどからも、コンプリケーションのベースムーブメントとして採用された。

 リリースによると、復活の経緯は以下の通りである。

「このような輝かしい背景を持つムーブメントの復活には、最大限に正確であることが求められます。今回のキャリバー321プロジェクトにおいて、オメガはエキスパートからなる専属チームを結成し、このムーブメントを生み出すために2年以上の間、極秘に作業を進めてきました。少数精鋭の専属チームのメンバーには、研究者、開発者、歴史家、そして最高の技術を持つ職人と経験豊かなウォッチメーカーが顔を揃えています。プロジェクトの機密性を守る目的で、メンバーたちはこのプロジェクトを“アラスカ11”というコードネームで進めてきました。これは、1960年代と70年代にNASAのために極秘で行われたスピードマスターの開発に用いられたコードネームと同じです」

「ムーブメントをできるだけ正確に再現するために、オメガのチームは第2世代のキャリバー321を参考にして、広範囲に及ぶ歴史的調査と当時の計画の情報を収集しました。それだけではなく、1972年のアポロ17号計画の際に宇宙飛行士ユージン・“ジーン”・サーナンが着用していた実物のスピードマスターST 105.003を、デジタルスキャンテクノロジーを用いて内部解析も行いました。サーナンは月面歩行をした最後の人類であり、彼のスピードマスターは現在ビール/ビエンヌにあるオメガ ミュージアムに保管されています。彼の時計に搭載されたキャリバー321は、オメガが今回のプロジェクトにおいて参照すべき完璧な設計基準をもたらしてくれました」

 レマニア(後にヌーヴェル・レマニア、現ブレゲ マニュファクチュール)が開発したこのムーブメントは、ブレゲがレマニアを吸収するにあたって、生産がブレゲに移管された。しかし、2018年の早い時期に、オメガで副社長を務めるジャン=クロード・モナションはクロノス日本版編集長の広田雅将に対して「キャリバー321に関する工具や製造機械は、すべてブレゲからオメガに移管した。その機械を使って、現在キャリバー321のリバイバルを行っている」と説明していた。

 今回発表されたのはムーブメントのみ。しかしオメガは、2019年3月に開催されるスウォッチ グループの見本市でその搭載モデルを発表するだろう。

オリジナルのCal.321。1968年にクロノグラフの制御がカム式に改められたCal.861が後継機種として登場したが、コラムホイール式を採用する同機を支持する愛好家は多い。

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